事業再構築支援のための経営の着眼点(その6)[第404回]
…数量を限定して営業する飲食店の事例!「月に1日」から営業を始めたケーキビュッフェの事例!
(毎週火曜日配信)税理士事務所様の経営を考えるコラム
GPC-Tax本部会長・銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司
※クライアントの経営支援の着眼点として、読み替えてご理解ください。
前回号の続きです。
営業時間ではなく数量限定で運営するお店、最小限の営業日から運営を始めるお店、どちらもその発想は斬新です。
貴事務所やクライアントの事業再構築のヒントとして、その考え方をご確認ください。
着眼点8:数量を限定して営業する飲食店の事例!
●『佰食屋、食の安全がささやかれる時代に、安心、安全で美味しいものを皆様にご提供したい。しかも、誰でも食べに行ける値段にもこだわりたい。
そんな思いを形にしたのが、佰食屋。新鮮なものを食べてほしいから、当店には冷凍庫がありません。毎日100人分の食材を仕入れ、100人にご提供する。
そうすることで、新鮮で作りたての美味しいお料理をご提供することが出来ます。
大人も小さなお子様も、みんなが安心して食べてほしいから、原材料は無添加、無化学調味料。これが、佰食屋のお約束です。
【佰】の字に込めた想い。
お客さまも働くメンバーも、みんなが幸せになれるお店をつくりたい。そんな想いで佰食屋はスタートしました。
お客さまの大切なお時間を、お店に並ぶ時間に費やしてほしくない。そんな想いから始まった整理券制度。
毎朝9時30分より整理券の配布を開始、お好きな時間を選んでご予約いただけます。
お1様4席までご予約可能ですので、予約した後はお時間までお買い物や観光など、自由にお時間をお過ごしください!
営業時間はお昼だけ。それは、100食限定のため、ランチで売り切れてしまうから。
また、働くメンバーが仕事もプライベートも大切にできると、また一層美味しい料理と良いサービスをお届けできます。』
佰食屋様のホームページから引用させていただきました。
https://www.100shokuya.com/about/
◎できるだけ長時間営業して一円でも多くの売上を取りに行く飲食店が一般的です。結果として、売上の薄い日時も店を開けています。
一品でも多く売りたいがために、食材の在庫も十二分に確保しています。効率性・生産性の観点から見直してみると、非効率な時間帯が多数存在します。
また、食材のロスも発生します。ロスを出さないために保存しやすい食材に偏りがちです。
佰食屋さんは大きなヒントを与えてくれています。【営業時間を固定せず販売数量を固定しました。】整理券を活用して更なる効率化を実現しています。
最も効率的で合理的な売上のみを狙っています。非効率で非合理な売上を捨て去ったシンプルな経営を行っておられます。汎用性のある経営手法です。
着眼点9:「月に1日」から営業を始めた完全予約制ケーキビュッフェの事例!
●「月に1日」に限定して完全予約制ケーキビュッフェ(オーダーバイキング)全て食べ飲み放題でご提供しておられます。
営業日は4シフト各50名、料金は税込み5,500円です。お店は通常の賃貸契約で毎日でも営業できますが、それでも「月に1日」の営業です。
その他、マカロンタワー教室やパフェを様々なフォトブースで撮影できる企画など空き日を有効に活用しておられます。一部の商品は通販で販売しておられます。
TSUKIICHI様のホームページから情報を収集させていただきました。
https://tsukiichi-cake.com/
◎月一の営業日に合わせて余裕をもって新商品開発や仕込みができます。従業員は営業日のみアルバイトを雇い入れるようです。普段は一人です。
店舗を借りたからできるだけ長時間営業しなければならない、こう考える経営者がほとんどです。
オーナーシェフのSAITOU氏は、営業日を月一に限定したことで、残りの29日(または30日)を有効に活用しておられます。
マカロンタワーを作る教室を運営したり、パフェを作って写真を撮影する企画など、または、通販商品を開発したり…余力があるのです。
◆「実力の80%までの売上は高収益な売上、80%~100%に近づくほど収益率は低下して、100%を超えると赤字に転落、120%を超える売上は高い確率でトラブルを招く。」こんな仮説を持っています。故に、余力のある経営を提唱しています。
店舗ビジネスにおける長時間営業は採算性を悪化させ、労務問題を引き起こす諸悪の根源ではないか?とも思っています。
佰食屋様、TSUKIICHI様からは、多くのヒントを得られるはずです。
…次回につづく
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