副業解禁の是非について[第571回]
…貴事務所は副業を認めていますか?
(毎週火曜日配信)税理士事務所様の経営を考えるコラム
GPC-Tax本部会長・銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司
2018年1月、厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成し「モデル就業規則」上で、それまで記載していた「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定を削除しました。
そして、新たに「第67条に労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」という、副業を認める条文を追記しました。上記から6年が経過しましたが、副業が緩やかに浸透してきたように感じます。
副業を認めることには、雇用者側にとって多くのメリットといくつかのリスクが存在します。
長短を勘案して副業について検討してください。
以下にメリットとリスクについてそれぞれの要点をまとめます。
■1.雇用者側のメリット
- スキルの向上
従業員が副業を通じて新たなスキルや経験を身につけることができ、その知識を本業にも活用できます。 - 従業員の満足度向上
副業を通じてキャリアの選択肢と収入を増やすことができるため、従業員の満足度が向上し、結果的に離職率が低下します。 - 新しいアイデアの導入
異なる業界や環境での経験を持つ従業員から新しいアイデアや視点がもたらされ、組織内の革新を促進します。 - 競争力の強化
副業を認めることで、企業は柔軟性を持って働ける魅力的な職場と見なされ、優秀な人材の獲得や維持が容易になります。 - 組織のリスク分散
従業員が副業によって収入源を分散している場合、組織全体としての経済的リスクが軽減されることがあります。
■2.雇用者側のリスク
- 業務への集中力低下
従業員が副業に時間を割くことで、本業の生産性や集中力が低下する可能性があります。 - 機密情報の漏えい
副業先が競合企業である場合、重要な情報が漏れるリスクがあります。 - 法的・規制の問題
労働時間規制の違反や労働者の健康問題が起こる可能性があり、企業が法的責任を問われることがあります。 - 内部の不公平感
副業をしていない従業員との間で不公平感が生じることがあり、職場の士気やチームワークに影響を与える可能性があります。 - タレントの流出
従業員が副業でより良い機会を見つけた場合、企業を離れる可能性があります。
副業を認める際には、これらのメリットを最大化し、リスクを最小限に抑えるために、明確なガイドラインと適切な管理体制が必要です。
副業に関するポリシーを設定し、従業員に対する教育とサポートを行うことで、副業がもたらす利点を活かし、潜在的な問題を予防することが必要です。
近い将来、副業を容認するように立法化されるのではないでしょうか。
そうならなくても、副業禁止の就業規則が、採用における大きなデメリットになる時代が近く訪れます。
この機会に副業について考えてみてください。
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