採用の不調や過度な退職の主因はミスマッチです。[第177回]

(毎週火曜日配信)税理士事務所様の経営を考えるコラム
GPC-Tax本部会長・一般社団法人銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司


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◆1.能力と給与をマッチングさせること。
◆2.自分の器量以上の人材を求めないこと。
◆3.力不相応な仕事力を求めないこと。

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職員の採用や退職でお悩みの所長様も少なくないようです。
実は案外シンプルです。ご確認ください。

■人の採用・雇用のための3大原則!

◆1.能力と給与をマッチングさせること。

⇒人の能力と給与には明確な相関関係があります。
人材に安くて良いはありません。薄給で優秀な人を雇用することも、まして雇用し続けることは不可能です。経営者のわがままです。逆に、優秀でない人を高給で雇用し続けることにはストレスが溜まります。長続きしません。能力と給与をマッチングさせること、人材を採用・定着させるための基本です。

◆2.自分の器量以上の人材を求めないこと。

⇒中小企業は代表者に勝る人材を活用できません。
組織のトップは所長です。故に、所長を越える器量を持ち合わせた人材は採用できません。まして雇用し続けることは不可能です。自分を越える人材を無意識に求める所長様も少なくありませんが、これはないものねだりです。その人にとって、その事務所に勤める(勤め続ける)必然性がありません。高給を飴にしても上手くいきません。
所長自身の器量の7掛け(イメージですが)以下の人材しか採用できない、この事実を認識して達観する必要があります。
※企業体自体がブランドを有する大企業においてはこの限りではありません。

◆3.力不相応な仕事力を求めないこと。

⇒過度な期待は退職を誘引します。
それほど高い給与でないことを忘れて、高度なスキルや営業力を期待する所長様も少なくありません。その職員の能力と給与に合わせたスキル・働き方を求めてください。経営側の一方的な過度な期待は、職員の退職を誘引します。

■採用のスキルでは解決できません。

上記を解決せずに、上手に採用戦略を構築しても、
○仮に、上手に?優秀過ぎる人を採用できても、
○仮に、上手に?市場価値を下回る給与で採用できても、
結局ミスマッチを引き起こして、最後は退職となります。

■本来、人は採用できます。人はそれほど退職しません。

採用の不調や過度な退職の主因はミスマッチです。
◆1.能力と給与をマッチングさせること。
◆2.自分の器量以上の人材を求めないこと。
◆3.力不相応な仕事力を求めないこと。

そもそも税理士事務所は相対的にも良い職場です。
採用が特段難しい職種ではありません。ミスマッチが無ければ、新規の採用は十分可能です。また、営業に支障をきたすような退職が続発する職種ではありません。
採用が上手くいかない、退職率が高い、その原因は上記のミスマッチです。
※一定の退職は可、いや善です。人はそれぞれです。人の人生をコントロールすることはできません。

■私が心掛けていること…

1.採用したら、会社都合の退職は原則行わない。
2.採用するからには、その人の生活が成りゆく給与を支払う。出来ないなら採用しない。
3.状況が許せば、少しだけ、市場価格を上回る(推測)給与を支払う。
4.私が使えない過剰な能力の人は原則採用しない。過度に能力の劣る人も採用しない。
5.その人の能力に応じた範囲で業務を執行してもらう。
6.新卒採用は状況が許すまで行わない。
7.経験者のその経験は、市場価値に加算する。
※敢えて未経験者を採用するとの意見には、賛同しがたい。
8.退職希望者は絶対に止めない。筋を通してくれれば出来るだけ円満に送り出す。
9.一定の退職は善と達観する。
10.ミスマッチを減らした上で、粛々と対処する。気にしない。

経営者である以上、社員に気を使うのは当然です。ただ、過度に気を使う煩わしさは味わいたくないと思っています。(前職で600人のマネージメントを経た現在の気持ちです。)
私は、3大原則と上記10を踏まえた上で、やれる人たちとのみ、経営を続けたいと思っています。


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