貴事務所の時間当たり生産性はいくらですか?[第202回]

(毎週火曜日配信)税理士事務所様の経営を考えるコラム
GPC-Tax本部会長・一般社団法人銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司


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…生産性は顧問料単価と相関がありますが、低すぎると採算が悪い、高すぎると競争力が落ちる、この中庸を見極めることが重要です。

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■クライアントごとの投入工数はどれくらいですか?

○年間の総労働時間を2,000時間として、時間当たりの生産性(獲得粗利益)が、
・6,000円とすると、年間の一人当たりの生産性は1,200万円
・5,000円とすると、年間の一人当たりの生産性は1,000万円
になります。
社内業務や教育(勉強)などの時間を加味すると、クライアントに提供するサービスの時間当たり生産性は7,000円~9,000円を狙いたいものです。

○労働分配率は、
・伸び盛りの事務所では、40%前後
・安定期の事務所でも、45%前後
に収めたいですね。

○平均の人件費(※支給する給与ではありません。)は、
・年間の一人当たりの生産性が1,200万円の時、480万円~540万円
・年間の一人当たりの生産性が1,000万円の時、400万円~450万円
になります。

○時間当たり生産性の概念を定着させましょう。

1.時間当たり生産性目標を7,000円とする時は…
・年間顧問料が30万円の時、年間の総投入時間は42時間以内
・年間顧問料が50万円の時、年間の総投入時間は71時間以内
・年間顧問料が100万円の時、年間の総投入時間は142時間以内

2.時間当たり生産性目標を9,000円とする時は…
・年間顧問料が30万円の時、年間の総投入時間は33時間以内
・年間顧問料が50万円の時、年間の総投入時間は55時間以内
・年間顧問料が100万円の時、年間の総就業時間は111時間以内

になります。

○管理を行えば、十分に納められそうな時間ですね。
以下、仮説です。貴事務所様でも分析してください。

1.単価の高いクライアントは、より効率的になっているはずです。
2.単価が下がると、生産性は下がっているはずです。
3.一方、上記より単価の低い(30万円未満)クライアントの採算は厳しいはずです。

高単価のクライアントが欲しいですね。

■ただし、顧問料60万円(~100万円)が税務顧問料の適正上限かも?

自計を前提にした税務顧問料、クライアントの規模を数億円未満のボリュームゾーンで想定すると、年額60万円ぐらいが上限ではないでしょうか?

・年額60万円以上になると、時間当たり生産性が1万円を超えてきます。(※1)事務所側も好採算で、これ以上の単価アップは、競争力を無くしてしまいます。少々危険です。
・年商2億円、税務顧問料年額90万円、競合の出現時には対抗できません。
・年商40億円、年商15億円、年間顧問料100万円、ともに生産性は1万円をはるかに超えています。(※2)値上げの合理性が乏しくなります。
※1、※2…当事務所の実績です。

ここで重要なことは、低すぎると採算が悪い、高すぎると競争力が落ちる、この中庸を見極めることです。

■更なる単価アップ・生産性の向上・差別化のために…

銀行融資プランナー協会では、税務顧問業務に付加して、財務部長機能を提供しています。
税務顧問料の単価を上げるのではなく、財務部長機能で単価を上げています。
最終的にはクライアントの過半に導入します。職員の過半が対応できるように訓練します。このサービス『資金繰り円滑化サービス』は、月額3万円~5万円の単価アップを実現します。内部的な工数は、期初に経営分析シートを作成する業務が3時間程度、毎月資金繰り表を更新する業務が1時間程度(年間12時間程度)、定例ミーティングが2時間程度(四半期毎の場合は年間8時間)、調達にかかる時間が2時間程度(年1回の場合)、年間合計で25時間程度です。

・時間当たり生産性15,000円~20,000円
※高い生産性は、一定以上のスキルを保有することで担保されます。
・単価アップ年間40万円~50万円
を実現できています。

税務顧問料の単価アップではなく、新サービス部分での単価アップがポイントです。

・クライアントとのグリップ力が強くなります。
・税務顧問部分でも価格競争力を最低限維持します。
・金融機関も巻き込んだ三者関係の構築ができます。

税務顧問業務を単独で受託するクライアントより、その関係は強固です。
時間当たり生産性15,000円~20,000円の二階建てサービスを、順次付加することで、全体の生産性は格段に向上します。

優秀な先生が、一人で数千万円稼ぐことは比較的容易です。一方、高い生産性を維持しながら、事務所を拡大するのは容易ではありません。新しいソリューションが必要になります。『新・税理士』のソリューションをご提案いたします。

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