事業性評価=企業価値の評価について[第251回]

(毎週火曜日配信)税理士事務所様の経営を考えるコラム
GPC-Tax本部会長・一般社団法人銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司


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前回号の続編です。

企業価値を評価するアプローチは、事業性評価を行うアプローチと似ています。
多くの投資家から自社株の売買という洗礼を受け続ける上場企業の例で解説します。
上場企業の企業価値(時価総額=株数×株価)は、その企業に対する事業性評価の結果です。

■例えば、以下の2社の企業価値は概ね同じです。時価総額=企業価値=約200億円です。
(平成30年6月初旬直近決算値概算)

◆A社(マザーズ市場)
売上高(連結) 約20億円
営業利益 ▲12百万円

◆B社(東証1部市場)
売上高(連結) 約280億円
営業利益 770百万円(純利益215百万円)

上場企業の最終到達点企業価値は、概ね純利益の14~15倍※です。
株式市場(投資家)は、この「A社B社の近未来の純利益が13~14億円までは届く」とみているようです。
故に、現時点における企業価値約200億円を総意として容認しています。
〔※上場企業は、その信頼性とリスク分散・流動性の担保により、14~15倍の将来利益が企業価値に織り込まれています。
一方、未上場企業は、概ね3~5倍の将来価値を見込むのが一般的です。〕
「A社B社の近未来の純利益が13~14億円までは届く」、この見立てが変われば、株価は上にも下にも動きだします。
現に日々動いています。これが上場企業の株価です。
(※株価を構成する要素はたくさんあります。一つの考え方としてご理解ください。)

なぜ、売上高も利益も大きく異なるA社とB社の企業価値が近似しているのか?ここに事業性評価の考え方が組み込まれます。
「A社は、足元は悪いが、その事業立地やビジネスモデルが相当おもしろいので、近い将来相当利益を上げてくれるはずだ。また、経営陣も信頼できる。」
このような評価が存在するはずです。
A社ほどではありませんが、B社に対しても、その安定性と成長性から高い評価を与えています。
B社に対しても、市場は純利益の90倍以上の企業価値を容認しています。
足元の経営数値だけでなく、その事業の立地やビジネスモデル、成長性の実績を評価して、将来に対して総合的な企業価値を与える、これが上場企業に対する投資家の評価です。

■未上場企業の企業価値評価(=事業性評価)について、私が前職の時に、社長として事業譲渡を受けた(買った)時の、私の企業価値評価のほんの一部をご紹介いたします。
※それぞれの案件にドラマがありますが、別の機会に紹介します。

◆N社(百万円)…企業価値2,400
○純資産 1,600    
○直近三期(古い順)の純利益 200、120、220、凸凹安定
○この企業は、純資産と4年分の純利益を加算した2,400で買取りました。地域一番の優良企業です。
◇後日談…計画通りの安定的な収益を継続できましたが、大きなブレイクには至っていません。
評価は○でしょうか。

◆Y社(百万円)…企業価値▲200
○純資産 ▲50    
○直近三期(古い順)の純利益 ▲40、▲30、▲50、悪化傾向    
○この企業の私の将来利益の見込みは▲150です。また、純資産▲50を勘案すると、この企業の企業価値は▲200です。(0円ではありません。)
オーナーの個人不動産100百万円(税引き後)の提供を受けて0円で買取りました。
買取り後、商標権100百万円を某社に売却して帳尻を合わせました。▲200、収益200、0円の買収です。
◇後日談…3年後から安定的に50以上の営業利益を計上できる会社に生まれ変わりました。
評価◎でしょう。

◆W社(百万円)企業価値160
○純資産 30    
○直近三期(古い順)の純利益 ▲10、▲10、▲10、横ばい    
○この企業は、大手商社が保有するある分野のNo.2の事業を展開する企業体でした。
私はこの事業に200の企業価値を付けました。最終的に160で買取りました。
足元の収益とはリンクしない企業価値を付けています。
◇後日談…直後から安定的に営業黒字を計上できる状況になりましたが、当初の目論見には届きませんでした。
評価△でしょう。

◆A社(百万円)企業価値90
○純資産 70    
○直近三期(古い順)の純利益 20、20、20、弱含み    
○この企業には、純資産と1年分の純利益を足して90の価格で買取りました。
◇後日談…事業の拡大を図りましたが、継続的な赤字事業となり、最終的には多大な損失を計上して撤退しました。
評価×です。

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