税理士事務所様開業時の収益シミュレーション！[第60回]

（毎週火曜日配信）税理士事務所様の経営を考えるコラム
GPC-Tax本部会長・一般社団法人銀行融資プランナー協会
代表理事　田中英司

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…創業赤字を想定して経営してください。
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■税理士事務所を新規に開業して軌道に乗せるためには、
一定の資金が必要になります。
税理士事務所はストックビジネスであるために、どうしても
創業赤字が発生します。この創業赤字を過度に恐れると、
逆に長期間顧客を獲得できずに苦労することになります。

◆シミュレーション：その１
○税理士事務所の収益は積み上げです。
年間顧問料６０万円のクライアントを獲得しても月額５万円です。
１０社獲得して月額５０万円、１５社で月額７５万円、２０社で月額１００万円…この辺りで
ぎりぎり黒字転換できるはずです。
開業４ヶ月目から毎月３社新規のクライアントを獲得しても、月額１００万円の売上を確保する
のに、１０ヵ月の期間を要します。
損益分岐点売上を１００万円として、上記の条件での１０か月間の創業赤字は▲５８０万円です。

○想定固定費は以下です。
・家賃 １５万円～
・諸経費 １０万円～
・（当初の）所長の給与 ３０万円～
・事務員給与 ２０万円～
※必要か不要か？悩ましいところです。電話は誰が受けるのか？
・販促及び営業費 １５万円～
・その他 １０万円～
以上で月額１００万円です。

○一方、月額顧問料５万円のクライアントを４ヶ月目から毎月３社受注するためには、それに
応じた身繕いが必要になります。投資が必要です。
１．差別化できる商品力
２．集客するためのコンテンツとプロモーション力
３．ホームページや営業案内等一式
４．来客に対応できる事務所
５．会計ソフト
・上記一式３００万円～

○創業赤字と初期投資を含めて資金が８８０万円必要になります。

■創業赤字を恐れるあまり、長期間クライアントに恵まれず、事務所が立ち上がらないケース
も少なくありません。

◆シミュレーション：その２
○事務所を持たないので、クライアント（候補）をすべて訪問する、携帯電話で対応する、
プロモーション活動も行わない、初年度獲得クライアント数３件、期末時点の月額売上は
１５万円、このような先生もおられます。
初年度売り上げは（７ヶ月目に月額顧問料５万円を３件受注したとして）９０万円しか
ありません。この条件での創業赤字は▲３９０万円です。黒字化するためには長い時間を
要します。実質的な創業赤字は、シミュレーション：その１よりも多くなりそうです。

○想定固定費は以下です。
・家賃 ０円～
・所長の給与 ３０万円～
・その他 １０万円～
以上で月額４０万円です。

クライアントが税理士さんを選べる時代です。好む好まざるに関わらず事実です。
おいしい料理とそれに合った空間を演出できる飲食店しか評価されないように、
税理士事務所も、差別化されたサービスとそれ相応の見繕いが必要です。
飲食店開業希望の若い男性が、自己資金３００万円と創業融資６００万円で店舗を
出店されました。税理士事務所開業者様も、最低限これぐらいの初期投資を覚悟して
臨んでください。創業予定者の創業融資相談に応じるためにも…幸い、金融機関は
税理士さんの開業を前向きに応援してくれます。

■GPC-Tax『新・税理士』開業塾を開塾しました。
・開業5年未満で、新規のクライアント獲得が思うようにできていない事務所様
・業歴はあるが、これから他事務所との差別化を図り業績をもっと伸ばしたいとお考えの
事務所様にも最適なプログラムです。

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