「日常の不便」から未来の柱を育てる[第615回]

中小企業経営者のための新規事業創出策

(毎週火曜日配信)税理士事務所様の経営を考えるコラム
GPC-Tax本部会長・銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司

貴社の経営、クライアントの経営支援のネタにご利用ください。

人口減少、物価上昇、価値観の多様化等、激変する環境の中で、中小企業が持続的に成長するためには、「新たな柱となる事業」を育てる必要があります。
しかし、新規事業と聞くと、「特別な才能が必要」「資金が潤沢でなければ無理」と思われがちです。
実際には、多くの中小企業が“身近な不便”や“顧客の声”から新たなビジネスを立ち上げ、成功しています。
以下に、その実例とともに、経営者が取るべき具体的なアプローチを5つに分けて例示します。
※ネット上から引用させていただきます。

■1. 「顧客のつぶやき」を見逃すな
事例:株式会社山崎製作所様(大阪府/金属加工業)

山崎製作所は、金属部品の試作品を作る町工場です。
あるとき、得意先の設計担当者が「試作品って、外注先に何度も図面を送り直すのが面倒」とこぼしたことをきっかけに、
自社でWeb上で図面を送受信・確認・修正できるシステムを独自開発しました。
このサービスは他社からも好評を得て、現在は外部企業にもSaaS型で提供、売上の約20%を占める新規事業に成長しています。

顧客の“ぼやき”には、必ず改善の余地が潜んでいます。「もっとこうなればいいのに」という声に耳を傾けることが、新規事業の第一歩です。

■2. 「小さく試す」ことでリスクを最小化
事例:有限会社ウメダ様(香川県/菓子製造業)

老舗和菓子店のウメダは、観光客の減少で売上が低迷していました。
試験的に「和菓子×プロテイン」というユニークな健康志向商品を開発し、まずは店頭に週末限定で並べたところ、若年層やスポーツ愛好者にヒットしました。
その反響を受けてEC展開をスタートし、現在では全国に出荷する定番商品に育ちました。

初期投資を抑えた「小さなテスト販売」こそが、無駄なコストをかけずに市場の反応を得る最善策です。失敗しても傷は浅く、成功すれば拡大の起点になります。

■3. 「外部との接点」で視野を広げよ
事例:株式会社スワニー様(香川県/カバン製造)

キャリーバッグの老舗メーカー・スワニーは、製品展示会で介護関係者から「シニア向けに、歩行補助になるキャリーバッグが欲しい」という声を受け、
歩行支援機能付きバッグ「スワニーウォーカー」を開発しました。
これが大ヒットし、介護市場に新たな展開を切り拓きました。

異業種交流会、展示会、地域の勉強会などに参加し、既存の業界の枠を超えたニーズに触れることが、新たな市場の扉を開くきっかけになります。

■4. 「社内から発想を募る仕組み」を持て
事例:有限会社エムアイエス様(新潟県/建設業)

現場作業員からのアイデアで誕生したのが、施工現場向けのスマホ用現場管理アプリです。
もともとは自社の業務効率改善のために作ったものでしたが、他社にもニーズがあると気づき、ライセンス販売をスタートしました。
現在では本業と並ぶ収益源になっています。

「現場の声」「若手社員の気づき」など、ボトムアップの発想を経営の意思決定に結びつける文化づくりが、企業にイノベーションをもたらします。

■5. 「やめる」ことから始めよ
事例:株式会社マルヒデ岩崎製茶様(静岡県/製茶業)

伝統的なお茶の卸販売を行っていたマルヒデ岩崎製茶は、価格競争の激化に直面していました。
そこで思い切って卸売業から撤退し、「海外の富裕層向け」の高級茶葉ブランドを立ち上げました。
海外展示会に積極出展し、現在では売上の8割を海外が占める成功企業になりました。

新しい挑戦には、「やめる決断」が伴います。経営資源は有限です。思い切って捨てることで、新規事業に集中できる土壌が生まれます。

■未来は「外」にある

新規事業は、社長室でひねり出すものではありません。
現場に、顧客に、取引先に、そして異業種に、未来のヒントは、すでに存在しています。
中小企業にとって重要なのは、身近な情報を「仮説」に変え、小さく実験しながら育てていく行動力です。

変化を恐れず、社内外の声に耳を澄ませてください。未来の収益の柱は、あなたのすぐそばに、静かに芽吹いています。

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