本業に執着するな、中小企業こそ「戦略的多角化」を[第632回]

…過去に固執せず、未来に焦点を合わせる!
貴社の経営、クライアントの経営支援のネタにご利用ください。
■企業経営の王道は「選択と集中」にあります。限られた経営資源を一点に集め、深く掘り下げて競争優位を築く。
これは古今東西を問わず成功企業に共通する原則です。しかし今の日本では、この原則をそのまま信じて突き進むことが、かえって企業を危うくする局面が増えています。
人口減少、人手不足、最低賃金の上昇、物価高騰、こうした構造的変化が中小企業の体力をじわじわと削っています。
需要そのものが減少し、かつての主力事業が「成長の足かせ」と化す例も少なくありません。
にもかかわらず、「昔からの得意分野だから」「社員が慣れているから」といった理由で、斜陽事業にしがみついてはいないでしょうか。
経営において大切なのは、「集中」と「執着」を混同しないことです。守るべきは“強み”であって、“形”ではありません。
環境が変わったなら、強みを新しいフィールドで活かす勇気が必要です。その具体的なヒントが、多角化で成功した中堅企業の中にあります。
●M&Aを活用し成長速度を上げたイチネンホールディングス
自動車リース業からスタートしたイチネンHDは、M&Aを通じて化学品・建設・工具販売などに事業を広げました。
安定収益と成長分野を組み合わせた結果、不況にも強い体質を確立しました。
◎教訓は、「ゼロからではなく、他社の強みを取り込んでスピードを得る」ことです。時間を味方につけた多角化は、中小企業にこそ有効です。
●外部資本を取り込み拡大した星野リゾート
軽井沢の一旅館だった星野リゾートは、外部投資家と組み、運営に特化したホテル再生ビジネスへ転換。
「界」「リゾナーレ」「OMO」などブランドを細分化し、急成長を遂げました。
◎教訓は、「自前主義に固執せず、外部資源を柔軟に取り込む」ことです。中小企業ほど連携を恐れてはなりません。
●ブランドの信頼を新分野に拡張した中村屋
和菓子店として創業した中村屋は、洋菓子やカリー、レストラン事業に進出。「中村屋の品質」というブランドを守りながら、新市場で信頼を獲得しました。
◎教訓は、「ブランドは新事業の共通言語」であるということ。顧客の信頼は、新分野への最強の橋渡しです。
●シナジーを生かしバリューチェーンを広げたワイズホールディングス
自動車修理業を核とするワイズHDは、後継者不在の企業をM&Aで統合し、部品流通やリサイクルにまで事業を拡張しました。
◎教訓は、「多角化は遠くを見るより、近くを掘る」こと。既存顧客の未充足ニーズにこそ、新事業の種があります。
■成功の共通点と、経営者への示唆
これらの事例に共通するのは、いずれも「逃げの多角化」ではなく「攻めの再構築」であるという点です。本業の強みを核に据えながら、新市場や新モデルに挑む姿勢。
これが現代の中小企業に求められる“戦略的多角化”の本質です。
■経営者が今取るべき行動は、
- 本業の将来性を冷静に見極める
- 周辺分野への拡張やM&Aを検討する
- 外部パートナーと連携してリソースを補完する
- ブランドの信頼を新事業にも活かす
- そして、撤退を恐れずポートフォリオを動的に運営すること
これらを実行できる企業こそ、環境変化を逆手に取り、次の10年をリードできるでしょう。
「集中」とは、過去に固執することではなく、未来に焦点を合わせることです。
変化の時代において、最も危険なのは“何もしないこと”。中小企業にこそ、守るための多角化、そして攻めるための変革が求められています。
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