金融機関対応の大原則は、借りられる時に借りられるだけ借りることです。[第79回]
(毎週火曜日配信)税理士事務所様の経営を考えるコラム
GPC-Tax本部会長・一般社団法人銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司
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…金融機関が貸し出す傘はすべて「日傘」です。
「雨傘」ではありません。
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金融機関対応の間違えた指針が一部でささやかれています。
クライアントの成長や経営の安全率を高めるためには、
正しい指針に沿った助言が必要です。
銀行融資プランナー協会では、以下の『金融機関対応指針』
に沿ったクライアントへの助言を続けています。
ご確認ください。
■経営者は、「必要な時に必要な金額を借入れたい」と考えます。適時適量発想です。
正論ですが、対金融機関に対してはこの論理が通じません。
金融機関が貸し出す傘はすべて「日傘」(○)です。「雨傘」(×)ではありません。
貸し出す資金が預金者から預かった預金だからです。損失を出すわけにはいきません。
故に金融機関は、企業に対して健全かつ前向きな資金しか貸し出せません。
融資を受ける側の企業は、必要な時に必要な金額の借入れができるように、常にその
健全性を維持しておかねばなりません。資金が必要な時には常に健全であるべきなのです。
これを厳守できるなら、「必要な時に必要な金額を借入れたい」との願いは叶います。
一方、企業経営には、「山」あり「谷」あり、「まさか」もあります。
「谷」や「まさか」の時には健全性が崩れることもあります。
このタイミングと資金を必要とするタイミングが重なった時は、資金は必要だけれども
融資は受けられない状況に陥ります。
資金が必要な時に健全性を維持する、これは容易ではありません。
■「借りられる時に借りられるだけ借りておく」ことこそ最善の策です。
健全な時に、近未来に遭遇するかもしれない「谷」や「まさか」に備えて資金調達を
継続して行い続けること、これ以外に方法が見当たりません。
これこそが、金融機関対応の大原則と確信します。
■『金融機関が「借りてくれ」と頼んできた。当社は大丈夫だ。』とおっしゃる社長様が
おられます。
その通りです。金融機関は今、この瞬間については、貴社が貸し出せる健全な会社で
あることを表明しています。ただし、この表明は、今、この瞬間のことであって、
近い将来を担保しているわけではありません。
例えば、3カ月後に「谷」や「まさか」が起きた時、同じ金融機関であっても、足元の
悪さを理由に融資を謝絶するかもしれません。数カ月前の言動を担保してくれません。
■「借りられる時に借りられるだけ借りておく」、ご理解いただけましたでしょうか?
・金融機関が「借りてくれ」と頼んできたら、有り余るほどの余裕がある場合を除いて
借りておきましょう。
・売上が伸びてきたら、増加運転資金を早めに調達しておきましょう。
・運転資金の借入れは、一年が経過して一年分の返済で元本が減ったら、元の金額まで
巻き返して借り直してください。
・金融機関との接点は、可能な限り持つように努力しましょう。
・創業時には、可能な限り創業融資を受けてください。
・創業間もない企業は、早めに日本政策金融公庫と保証協会付融資を受けて、実績を
作りましょう。
・融資を受けた後も、金融機関とは誠意を持ってお付合いしてください。
・資金使途違反などはくれぐれも起こさないようにしましょう。
■結果として無駄な金利を払い続けることになっても、これはこれで良いと考えましょう。
二つのリスクが想定できます。
余分に資金を借り入れて、結果として無駄な金利を払うリスクが一つ目です。
余分と判断して借入れを起こさなかったために、資金に詰まるリスクが二つ目です。
一つ目のリスクは読めるリスク、ある種の保険料です。
それに比べて二つ目のリスクは、起きてはならないリスクです。
底が読めません。
一つ目のリスクを取るべきではないでしょうか?
金融機関が貸し出す傘はすべて「日傘」(○)です。「雨傘」(×)ではありません。
肝に銘じてください。
ゆえに、金融機関対応の大原則は、『借りられる時に借りられるだけ借りること』です。
論理矛盾はないはずです。
貴事務所も、この機会に銀行融資プランナー協会とのお付合いを始めてみませんか。
まずは、研究会No.1にご参加ください。
実例を使って、体系的・網羅的・論理的に解説いたします。