経営コンサルタントに必要な能力は「知力」です。[第92回]

(毎週火曜日配信)税理士事務所様の経営を考えるコラム
GPC-Tax本部会長・一般社団法人銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司


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 …経験やコンテンツはあくまでも「知力」の補完に過ぎません!
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経営コンサルタントを二階建てサービスとして導入しようとする税理士事務所様も少なくありません。
僭越ながら、持論を展開させていただきます。

■クライアントに勝る高度な知力があれば、
 経営コンサルタント業務はできます。

・クライアントからその悩みを聴きだして、論理的に整理してあげる。
・次に、整理された悩みを解決するための課題を、論理的に整理してあげる。
・悩みを解決するプロセスを、継続的にサポートしてあげる。

クライアントの業界特性や企業特性を事前に知っていなくても、これらをクライアントの
頭の中から聴きだして整理する知力があれば、経営コンサルタントは成立します。
答えは、すべてクライアントの頭の中にあります。
ご本人が気付いていないことを聴きだして整理してあげるのですから、クライアントも
納得します。
対象の業種や業界、自身の経験は関係ありません。万能です。
経営コンサルタントは、クライアントを使って、クライアント企業の課題を解決することが
仕事です。経営コンサルタントの実務はほとんどありません。

■経験やコンテンツは、知力を補完します。

・経験が豊富であれば、助言がしやすくなります。
・マーケティングの原理原則や成功事例を熟知しておれば、助言がしやすくなります。
・マネージメントの原理原則や成功事例を熟知しておれば、助言がしやすくなります。

自身の経験が豊富で、かつ、自身が成功していても、それだけでは経営コンサルタント業務は
できません。対象クライアントに適合させる知力が必要です。

マーケティングやマネージメントを熟知していても、それだけでは経営コンサルタント業務は
できません。対象クライアントに適合させる知力が必要です。

■経営コンサルタントに必要な資質はズバリ知力です。

クライアントは自社のことを、経営コンサルタントと比べて圧倒的に長時間考え続けている
はずです。悩みや解決のための方法を考え尽している、と言っても過言ではありません。
そのクライアントに対して、短時間で新たな気付きを与えることは容易ではありません。
「聴きだしながら、瞬時に整理してあげる。」これは知力以外の何物でもありません。

■知力という資質の習得は極めて難解です。

経営コンサルタント会社の悩みは人材の確保です。育成ではありません。
知力の育成は難しいので、資質のある人?の採用を心掛けます。
コンテンツの習得や経験を積ませることが育成です。
いくら教育を施しても、元の知力という資質の欠落は補完出来ません。
経営コンサルタント以外のキャリアを歩ませる以外に方法はありません。
外資系のコンサルタント会社では、職を解かれます。

■税理士事務所が経営コンサルタント業務を導入することには原則反対です。

経営コンサルタントとしての能力はコンテンツやノウハウ、経験ではありません。
極めて高度な知力です。経営コンサルタントを生業にする会社が少ないのはこのためです。
ビジネスモデルがそもそも難しいのです。

■二階建てサービスは、限定的なコンサルタント的?業務にしましょう。

税務業務にできるだけ近い方が、導入しやすいです。
税務・金融領域に限定したコンサルタント的?業務、財務部長の代行業務が最適です。
私のドタ勘ですが…
・経営コンサルタント業務は、20人に1人、5%位が対応できます。
・MAS監査は、5人に1人、20%位が対応できます。
・財務・金融領域のコンサルタントは、2人に1人、50%位が対応できます。
付け加えるならば、経営コンサルタントができる人でも、さらに限定したコンサルタントを
行った方が、その効果・利益の総額は大きくなります。

税理士事務所が経営コンサルタント業務を導入することには原則反対です。
税務・金融領域に限定したコンサルタント的?業務、財務部長の代行業務が最適です。

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