事業計画の要諦は、事業立地を成長分野へ転換することです!(その2)[第645回]

…創業以来、先代以来、同じことを続けてはいませんか?
(毎週火曜日配信)税理士事務所様の経営を考えるコラム
GPC-Tax本部会長・銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司
貴社の経営、クライアントの経営支援のネタにご利用ください。
…前回号の続きです。
事業計画の要諦は、事業立地を成長分野へと転換することです。
■何十年も同じことを繰り返している企業は、決して少なくありません。
創業以来、先代の代から…ただ同じ事業を継続しています。事業を創る、事業立地を再定義する、イノベーションを仕掛ける、こうした発想自体が存在しません。
それでも、社長も従業員も皆、真面目に日々の仕事に取り組んでいます。結果として、その会社は静かに衰退し、ある時突然、その役割を終えることになります。
「今年生まれた子どもが二十年後に就職する頃、存在している会社の半分は、今はまだ存在していない」と言われます。
二十年で企業の半分が入れ替わるという仮説です。おそらく現実に近いでしょう。
AIに代替される業種が話題になりますが、自社が該当するかを過度に心配する必要はありません。結局、すべての企業は時代に取って代わられる存在だからです。
変化しなければ、企業は存在意義を失います。時代ごとのニーズに応え続けることが、生き残るための条件です。
経営とは、連続した小さな変化を積み重ねる営みです。その小さな変化が、やがて大きな変革へとつながります。
急激に変わったように見える企業も、実態は小さな変化の積み重ねに過ぎません。
本稿では「事業計画を策定する」というテーマについて述べています。
事業計画とは、変化を生み出すための“種”です。何を、どのように変え、いつまでにどの姿を目指すのか、この仮説こそが事業計画です。
過去の延長線上にある数値計画を作って満足してはいけません。
■事業計画作成時の重要ポイント
策定にあたって、次の要素が含まれているか確認してください。
- 事業立地の見直しやイノベーションが織り込まれているか
- 収益モデルの創造・再構築ができているか
- 現状認識は十分か
- (仮)のゴール〔マイルストーン〕を設定できているか
- 全体として整合性の取れた数値計画になっているか
- 数値計画と資金計画の整合性を確認しているか
- マネジメント体制は成長に耐えうるか、また妥当か
- 日々修正しながら現実的に対応できる設計か
■経営者の仕事は、事業立地とビジネスモデルの検証・構築、すなわち事業計画の立案と見直しに尽きます。
経営者の仕事は多岐にわたります。
しかし重要度の低いものから削ぎ落としていくと、最後に残るのは「事業立地とビジネスモデルの検証・構築」、つまり事業計画の立案と見直しです。
それにもかかわらず、多くの経営者はこの最重要業務を疎かにしています。その結果、経営者不在の企業体になっています。
創業時や先代から受け継いだビジネスモデルを進化させることなく、惰性で継続しているのです。
過去の事業を時間軸で延ばしただけの数値計画を事業計画と呼び、自己満足に陥っています。体裁の良い数値計画は、決して事業計画ではありません。肝に銘じてください。
■経営者には三つの「胆力」が求められます。
経営にウルトラCはほとんどありません。一つひとつ理詰めで考え、確実に行動し、都度修正しながら積み上げていく。この地道な営みを淡々と続けることが、王道です。
- 理詰めで考え続ける知力と、それを持続する知的胆力
- 行動し続ける実行力と、それを支える肉体的胆力
- 思うように進まない状況に耐える精神力と、その精神的胆力
■事業計画とは、江戸時代に中国奥地を目指す長旅の旅程表のようなものです。
存在が定かでないゴールに向かい、一歩ずつ進まねばなりません。
日本から中国奥地を目指すなら、まず大陸へ渡る方法を考え、航路を探し、港へ向かうための資金を用意します。大陸に渡っても、先の道が見えるとは限りません。
それでも前に進みます。ゴールまでの費用が読めなくても、一歩ずつ進みます。その過程では、数多くのトラブルにも遭遇するでしょう。
それらを回避し、あるいは解決しながら、不確実なゴールに向かって歩み続けるのです。この旅に、明確な終点はありません。
経営とは、ゴールではなく、そのプロセスそのものなのかもしれません。
知的胆力、肉体的胆力、精神的胆力を鍛えながら、経営という長い旅に挑み続けましょう。
楽しみながら。
新年を迎えるにあたり、経営を見つめ直す一つの契機となれば幸いです。
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