融資を受けるための数値計画作成のコツ![第108回]

(毎週火曜日配信)税理士事務所様の経営を考えるコラム
GPC-Tax本部会長・一般社団法人銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司


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…売上目標が大きすぎると、その蓋然性の説明に苦慮します。
…売上目標が小さすぎると、その借入の返済ができません。
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創業融資や設備投資、新店出店時の融資をサポート
する場面においては、金融機関に提出する数値計画
の作成が必要です。当事者である経営者から様々な
状況をヒヤリングして作成しますが、本当に実現する
売上を想定するのは大変難解です。
ここで困り果てる先生も少なくないはずです。
答えは簡単に見つかります。以下ご理解ください。

■創業融資や設備投資、新店出店時に融資を受けるための数値計画の作り方にはノウハウが
 あります。

銀行融資プランナー協会の推奨する財務部長として作成する数値計画は、融資金額を返済する
ために必要な(返済後)損益分岐点売上を基準にした資金繰り計画書です。
資金が適切に回るように逆算して作ります。これが最善です。

金融機関に提出する(融資のための)数値計画には、必要な二つの要件があります。

○その1:
一つ目は、返済が可能であることです。
新店出店のために融資を受けて、出店後の売上で返済が出来なければ、そもそも計画自体が
成立しません。
返済金が賄える計画を作ることは絶対条件です。

○その2:
二つ目は、想定する売上を実現するための蓋然性が高いことです。
大きな売上計画を立てれば、十分な返済原資を確保できます。
一方、本当にその売上が実現できるのか?との疑念が生まれます。
想定する売上が大きければ大きいほど、その疑念は大きくなります。
その疑念を払しょくするための理論武装が必要になります。

返済するために必要な売上以上の大きな売上を想定して、その売上を実現するための蓋然性の
説明に苦慮する、このような無意味な結果を招かないように気を付けてください。

繰り返しますが、銀行融資プランナー協会の推奨する財務部長として作成する数値計画は、
融資金額を返済するために必要な(返済後)損益分岐点売上を基準にした資金繰り計画書です。
資金が適切に回るように逆算して作ります。これが最善で、極めて合理的です。

当事者である社長には、「この数字は実現できますか?」と尋ねます。
社長に「もっと売れるよ、こんな小さな数字では困る。」と言われても、
「これ以上売っていただくことに問題はありません。」と締めくくってください。

※単に融資のためだけの計画にはなり下がりません。
 社長に対して、最低限必要な売上を示唆する目標計画としての役目を果たしています。

■真の数値計画を想定することは極めて難解です。

○初めてお会いした創業者の経営者としての実力を測り、さらに、その事業の特性を
 理解することができるでしょうか?無理です。創業融資計画は、創業融資を受けて、
 それが返済できるミニマム売上を算出して、経営者に示してあげてください。
 「この売上は確保できますか?」と確認を取ってください。「これ以上行ける。」この
 回答をもらってください。

○想定する新店の売上を正確に予測することはできるでしょうか?
 そのために市場調査・商品力分析・マネージメントの力量を測る業務を行うことはできません。
 我々、『新・税理士=財務部長』の仕事ではありません。
 新規の(融資のための)出店計画の作成を引き受けた時は、融資を受けて、それが返済できる
 ミニマム売上を算出して、経営者に示してあげてください。
 「この売上は確保できますか?」と確認を取ってください。「これ以上行ける。」この回答を
 もらってください。

■融資を受けるための数値計画作成にはコツがあります。

売上目標が大きすぎると、その蓋然性の説明に苦慮します。一方、売上目標が小さすぎると、
その借入の返済ができません。銀行融資プランナー協会の推奨する財務部長として作成する
数値計画は、融資金額を返済するために必要な(返済後)損益分岐点売上を基準にした
資金繰り計画書です。資金が適切に回るように逆算して作ります。単に融資のためだけの計画
にはなり下がりません。社長に対して、最低限必要な売上を示唆する目標計画としての役目を
果たしています。

詳細は、『金融機関対応力習得研究会』で適時解説しています。

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