税理士事務所様からの金融機関対応Q&A(その1)[第124回]

(毎週火曜日配信)税理士事務所様の経営を考えるコラム
GPC-Tax本部会長・一般社団法人銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司


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 Q1:有料化できない?
 Q2:資金調達できない案件の対応は?
 Q3:金融機関同行で恥をかいた?

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Q1:
金融機関対応に対する別途料金の徴収が
できません。今まで金融機関対応の助言を
無料で(税務顧問料の中で)行ってきました。
今更、有料化できそうもないのですが。
この様な時はどうすればよいでしょうか?

A1:
当事務所(銀行融資プランナー協会本部)でも、金融機関対応に関する助言については、相当突っ込んだレベルまで無料で行っています。
・決算書分析とヒヤリングから、融資の可否判断の助言
・金融機関への提出資料を具体的に提示して、資料の作成の助言
・具体的な対象金融機関選定の助言
等です。これらは無料です。

有料なのは、上記の助言ではなく、役務の提供です。
助言は無料、役務は有料です。
具体的には、上記のノウハウを懇切丁寧にクライアント(及び候補)に無料でお伝えします。その後、「貴社で取り組まれますか?」、それとも、「当事務所が対応しましょうか?」と選択肢を提供します。
この時に、以下のサービスを提示します。
『銀行融資プランニングサービス』(スポットサービス)
https://www.bankfinancial-planner.com/service/service_1/
ノウハウを懇切丁寧に、クライアント(及び候補)が理解できるレベルで解説出来て、提供する役務の有益性を理解いただければ、ほぼ百%受注できます。

ノウハウと役務を分けて、役務を確実にサービスとして有料化することで、論理矛盾は起きません。役務を明確に有料のサービスに仕上げて、サービス案内等も整備して、確実に案内してください。
また、役務を受託した時には、金融機関との窓口を確実に担う積極的支援を行い、クライアントの煩わしさを払拭してあげてください。

Q2:
資金調達の相談に来られたクライアント(及び候補)が、結果として資金調達が出来ないことに不満を持たれることがあります。申し訳ないような、腹立たしいような…資金調達の相談対応に及び腰になってしまいます。どう考えればよいでしょうか?

A2:
資金調達ができない時には、出来ない理由と、どうなれば出来るようになるか、この2点を明確にお伝えすることが重要です。
補足します。
資金調達の案件は3種類です。

その1:金融機関に持ち込めば、比較的簡単に資金調達できる案件。
その2:資金調達できる状況にない案件。そもそも無理な案件。
その3:知恵を絞って案件構築を行って、誤解のないように金融機関に説明してあげて、
必要であれば複数行から分散調達(協調融資)を行ってあげれば調達できる案件。

この中で、その2は、そもそも資金調達できない案件、会社様です。
この会社様が資金調達できないのは、だれの責任でもありません。敢えて申し上げるなら会社の実力です。
資金調達ができない理由を曖昧にせず、はっきりとお伝えすることで、当事務所(銀行融資プランナー協会本部)ではご理解いただいています。どうなれば資金調達が出来るようになるかを併せて解説することで、相談者様の満足度は高まります。

ただ、出来るはずの資金調達が出来ない…これは能力不足です。金融機関対応の相談に対応するためには、相応のスキルの習得が必要です。このスキルがなければ、知ったかぶり対応は行わず、「当所はよくわかりません。税理士事務所の仕事は税務であって、金融機関対応や財務ではありません。」と回答するしかありません。

Q3:
先日クライアントからの要望で、金融機関に同行しました。金融機関の担当者からいきなり様々な質問を受けましたが、正直詳細を把握できておらず、恥ずかしい思いをしました。金融機関への同行時の注意点を教えてください。

A3:
当事務所(銀行融資プランナー協会本部)では、金融機関への同行は原則行いません。(言葉の綾で恐縮ですが)クライアントをお連れすることはありますが、クライアントに同行はしない、との意味です。
クライアントが単独で金融機関との折衝を行っているプロセスの、どこかの一コマにいきなり引き出されても、適切な対応はできません。流れがわからないからです。
同行するなら、前後のやり取りの確認が必要です。また、やり取りを確認しても、そもそもの融資戦略が間違っておれば、リカバーする範囲も限られます。故に、金融機関対応を当事務所が入り口から引き受けるか、クライアントが自分自身で行うか、入り口で選んでもらっています。クライアントが単独で進めて頓挫して、リカバーを引き受ける場合はあります。
金融機関同行…そもそもこの概念は正しくありません。お勧めできません。

…つづく

貴事務所も、この機会に銀行融資プランナー協会とのお付合いを始めてみませんか。
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