税理士事務所様からの金融機関対応Q&A(その2)[第125回]

(毎週火曜日配信)税理士事務所様の経営を考えるコラム
GPC-Tax本部会長・一般社団法人銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司


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Q4:資金調達で手間暇を掛けても、結局調達できなくて…
Q5:金融機関からの融資依頼(借りてください。)、どこまで借りればよいか?

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…前回のつづきです。

Q4:
成功報酬を頂戴する条件で資金調達の依頼を受けて、金融機関対応の支援を行っていますが、結果として調達できないケースが多く、ただ働き、かつ、クライアントにも喜んでいただけないことが多いです。
何が問題でしょうか?

A4:
初期段階における案件の見極めに問題があると思います。当事務所(銀行融資プランナー協会本部)では、初回面談時に案件の分析・見極めを出来るだけ行い、引き受ける案件、調達が難しいので引き受けない案件を選別しています。資金調達が出来そうにない案件は、詳しく説明を添えてお断りします。

具体的には、資金調達の案件を以下の3種類に分類します。
その1:金融機関に持ち込めば、比較的簡単に資金調達できる案件。
その2:資金調達できる状況にない案件。そもそも無理な案件。
その3:知恵を絞って案件構築を行って、誤解のないように金融機関に説明してあげて、
必要であれば複数行から分散調達(協調融資)を行ってあげれば調達できる案件。

その1とその3は、ソリューションの詳細を解説した上で、お約束はできませんが…この前提で成功報酬の契約をいただいて資金調達に動きます。(※『銀行融資プランニングサービス』をご提案します。)
http://www.bankfinancial-planner.com/rule-detail8
その2についても、その理由を詳しく解説します。その上で、お断りします。
(※状況に応じて税務顧問と『資金繰り円滑化サービス(財務部長の代行業務)』をご提案します。)
http://www.bankfinancial-planner.com/rule-detail6

そもそも無理な案件を引き受けていないでしょうか?または、案件を見極めるための金融機関のルールの習得が不十分なのか?ご再考ください。

Q5:
業績の良いクライアントは、金融機関から融資依頼(借りてください。)を受けます。「どこまで借りればよいか?」とクライアントに質問を受けることがありますが、どのような基準で判断すればよいでしょうか?

A5:
銀行融資プランナー協会は、「出来るだけ手持ち資金に余裕を持って経営してください。」と助言しています。故に、「悩むなら借りてください。」と回答します。

○実際には、近未来の資金繰り計画に沿って、
・資金繰り計画上十分な余裕資金を持つこと。
・資金繰り計画(売上計画)自体が下振れする可能性を踏まえて、それでも資金繰りに窮しない
 資金を確保すること。保険を掛けておく。
・金融機関は経営状態の良い時(晴れの日)だけ、融資依頼(借りてください。)を行う、
 この事実を理解すること。
 (悪くなれば(雨に日)、「貸せません。」の回答が返ってきます。)

○一方、
・借り入れが膨らめば、その金利負担が膨らむこと。
・手持ち資金が潤沢になれば、余分なお金を使いたくなる趨勢がある。

上記の様な長所と短所を解説する必要があります。

近未来の経営状況を正確に読み切れるなら、最小限の資金で会社は回せますが、近未来の経営に不確実性があるならば、余裕を持つことが必要です。多くのクライアントは後者ではないでしょうか。
当事務所(銀行融資プランナー協会本部)では、ほとんどのケースで、「借りられる時に、借りられるだけ借りてください。」と助言しています。

クライアントからの金融機関対応や財務に関する問い合わせや質問は少なくないはずです。税務の範疇を明らかに逸脱しています。税務顧問業務で提供する役務ではありません。一方、クライアントの多くが、これらの経営課題を税理士事務所に持ち込むのには理由がありそうです。税理士事務所にとってのビジネスチャンスです。

ビジネスチャンスである、この認識があるからこそ、クライアントからの金融機関対応や財務に関する問い合わせ、ご質問に対して真摯に対応されておられることと推測します。
であるならば、金融機関対応や財務に関する知見を深めてください。プロになってください。そのためには、一定の訓練が必要です。
僭越ですが、超難解な税理士試験の科目にも、金融機関対応や財務は存在しません。税理士の先生も、この分野の専門家でないことをご認識ください。

確実に習得すれば、大きなビジネスチャンスになります。
逆に、よく知らずに取組めば、火傷します。(ご無礼をご容赦ください。)

貴事務所も、この機会に銀行融資プランナー協会とのお付合いを始めてみませんか。
まずは、金融機関対応力習得研究会にご参加ください。