値上げの提示でクライアントの選別を![第260回]

(毎週火曜日配信)税理士事務所様の経営を考えるコラム
GPC-Tax本部会長・一般社団法人銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司


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 …高収益事務所は、クライアントを選別しています。
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『低価格・低生産性のクライアント10社に対して、 加重平均で20%の値上げを依頼して、8社が残っ てくれたら(20%減)、この部分に対する収益は 20%向上します。』
【SP経営NNNの法則(この時のNは20%です。)】

■現状の体制で業務が手一杯と感じたら、固定費の増加(職員の増員等)を行う前に、クライアントの選別を行いましょう。

選別する方法は単純です。自事務所基準でクライアント毎の採算を判断します。例えば、4段階で分けるなら、SかAかBかC…このように区分します。
次に、最下位のCを(Aか)Bまで向上できる価格を算出します。契約更新時等に値上げを提案します。更新可否を決めるのはクライアントです。
Cのクライアントは、(Aか)Bで残留するか、先方から断るか、どちらかです。Cのクライアントは居なくなります。

■玉石混合のまま事務所の規模を拡大しない方がよいはずです。

少なくない税理士事務所様は、上記の選別を行わずに、多忙だからとの理由で、職員の増員、事務所の拡張を行っています。
採算の悪いユニットをそのまま拡大しても採算は改善しません。スケールメリットを享受できません。

◆Cのクライアントが10有って、そのうちの5つがBのクライアントに格上げされて、5つのクライアントとの縁が切れたとしましょう。
・クライアント数は減少しました。
・売上は多分減少するでしょう。
・利益はどうなるのでしょうか?多分減少するでしょう。
それでも、業務が手一杯ではなくなるので、職員の増員は不要になります。今固定費を増やす必要はありません。
◎値上げで5つも切れた理由を探して改善しましょう。

◆Cのクライアントが10有って、そのうちの7つがBのクライアントに格上げされて、3つのクライアントとの縁が切れたとしましょう。
・クライアント数は減少しました。
・売上は多分減少しないはずです。
・利益はどうなるのでしょうか?収益性は向上するはずです。
業務が手一杯ではなくなるので、職員の増員は不要になります。今固定費を増やす必要はありません。

◆Cのクライアントが10有って、そのうちの9つがBのクライアントに格上げされて、1つのクライアントとの縁が切れたとしましょう。
・クライアント数は減少しました。
・売上は増加するはずです。
・収益性は各段に向上するはずです。
業務は手一杯なので、当初の予定通り職員の増員等を(余裕を持って)行えます。

■クライアントを選別する発想の無い事務所は、大きな事務所にはなれても、高収益事務所にはなれません。
高収益事務所は、クライアントを選別しています。

税理士事務所開業当初は、とにかく顧客が必要です。玉石混合の受注をしておられるはずです。多くの開業税理士さんはこうなります。必然です。
それでも、クライアント数が一定数を越えてきた時には、
・既存のクライアントを選別する
・新規のクライアントを選別して受注する
収益の基準と受注の基準を明確にして、クライアント及びクライアント候補を選別する発想を持ってください。

そのためには…
◎クライアント数で事務所の成功可否を判断する売上至上主義からの脱却が必要です。
◎また、何より、他事務所との違いを構築する努力が必要です。同じサービスを売っていたのでは、クライアントから選別されてしまいます。
値上げしたら誰も残りません。

※銀行融資プランナー協会では『新・税理士』による差別化を提唱しています。
https://www.good-tax.jp/

概ねクライアント数50を越えたら、選別を強烈に意識してください。
クライアント数100を超える事務所様は、大きな収益を確実にもたらしてくれるはずです。
一つの考え方です。ご一考ください。

※以下の税理士・会計事務所様が『新・税理士』ソリューションを導入されておられます。
https://www.bankfinancial-planner.com/area-madoguchi/

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