銀行融資が受けられないたった一つの間違え![第335回]
(毎週火曜日配信)税理士事務所様の経営を考えるコラム
GPC-Tax本部会長・銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司
…自社と金融機関のパワーバランスが読めていない!
●1.×『雨傘理論』⇒〇『日傘理論』
金融機関にある傘はすべて『日傘』です。(一部の制度融資を除く)
金融機関は、資金を必要とする会社にお金を貸す
のではなく、返済してもらえる会社に融資をします。
必要だから、なければ困るから貸してくれ…この理屈は通りません。このように返済できるから融資をお願いしたい…この論理武装が重要です。
金融機関に、困った会社への救済融資という商品『雨傘』は存在しません。一部の制度融資は特例です。
●2.×『借り手(会社)の論理』⇒〇『貸し手(金融機関)の論理』
・今は資金が必要でないから借りない。金利ももったいない。
・今は資金が必要だから借りたい。
上記は『借り手の論理』です。
・今は経営状況が良いから融資できますよ。
・今は経営状況が悪いから融資できませんよ。
これらは『貸し手の論理』です。
経営状況が良くて、資金が必要な時には、双方の意向がマッチして、資金調達ができます。経営状況が悪ければ、資金が必要になっても資金調達はできません。
●3.×『困ったら借りる』⇒〇『借りられる時に借りる』
私が経営者なら、自社の都合ではなく、貸し手の都合に合わせて資金調達を継続します。少しばかりの金利は、保険と割り切ります。
金融機関のお世話にならなくていいと思える確証を持てるまでは、金融機関(貸し手)の都合を優先してお付き合いします。他に方法がないからです。
●4.パワーバランスの欠落は経営者にとって致命傷!
私が最初に会社を作った24年前の記憶ですが、国金(今の日本政策金融公庫)の窓口を訪ねた時に、隣の窓口で国金担当者の不手際(?)に
声を荒げている社長(?)がいました。事の詳細は分かりませんが、褒められる行為ではありません。ご自身が得しません。
多分この社長の経営は今もうまく行っていないでしょう。
金融機関との関係も、他の利害関係者同様本来は対等であるべきです。
自社がいくら立派になって、金融機関の支援を必要としなくても威張らない、逆に、自社の経営が逼迫していても、金融機関に媚びる必要はありません。
この前提で申し上げるのですが、それでもパワーバランスは変動します。自社が相対的に弱ければ、相手の基準に合わせていかねば事が運びません。
創業から中小零細企業の多くは、対金融機関に対しては、自社の都合『借り手の論理』ではなく、相手の都合『貸し手の論理』で行動するしかありません。
このセンスを持ち合わせていない経営者は、金融機関対応だけでなく、その他すべてのビジネスシーンでミスを連発しているはずです。
『国金担当者の不手際(?)に声を荒げている社長(?)の経営は今もうまく行っていないでしょう。』と私は思っています。
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