顧問先の事業売却(M&A)時は売手アドバイザー業務を受託!(その1)[第372回]

…税務・財務DD業務の報酬と、アドバイザー業務の報酬は最大二桁異なる!

(毎週火曜日配信)税理士事務所様の経営を考えるコラム
GPC-Tax本部会長・銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司

顧問先クライアントの事業売却(M&A)は、売手のアドバイザー業務を受託しましょう。
税務DD業務や財務DD業務からの報酬と、アドバイザー業務の報酬は一桁から二桁異なります。
DD業務の報酬は役務の対価、アドバイザーの報酬はマッチングを含めた高付加価値な報酬基準に準拠しています。その分アドバイザー業務は難解ですが。
※M&Aアドバイザーの報酬はレーマン方式を基準に算出されます。

後継者のいない会社様は、その事業を第三者に譲渡するのが一般的です。業績の良い会社に廃業の選択肢はありません。
また、業績の良い会社ほど、その会社の買手を見つけることは容易です。買手探しの心配は不要です。買手を見つけるアドバイザーに依頼すれば事足ります。

少なくとも自事務所の顧問先の事業売却(M&A)時には、売手アドバイザー業務を受託できるように、基本的な事業売却(M&A)時の流れについて知っておいてください。
もちろん容易ではありませんが、流れを知っておれば、専門家との連携時にも有利に進めることができます。
大手M&A事業者に紹介して些少の紹介料をもらうことに甘んじず、ある程度関与することをお勧めします。

以下、基本的な事業売却(M&A)時の流れについて解説いたします。
ステップ1

自事務所が、事業譲渡時(株式売却や営業譲渡を含めて)のアドバイザー業務を担うことをクライアントに広報してください。

直近に私が売手のアドバイザーとしてクロージングしたM&A案件(売手のアドバイザー業務)に関しても、その会社様には長期間お付き合いのある税理士事務所が当然存在します。それでも同社の社長は顧問税理士に会社売却の相談はしていません。
理由は諸々ありますが、少なくともこの税理士事務所様が熱心に広報されておれば、選択肢に含まれたと推測できます。

ステップ2

売手の専任アドバイザー業務を受託しましょう。

M&A業務の肝は売り案件です。売り案件がなければM&Aは始まりません。M&Aにおいて、売手と専任アドバイザー業務を締結すること、これがすべてです。
また、その売り案件(企業)の業績が良ければ良いほど、買手候補は多数現れます。買手候補の発掘は極めて容易と言っても過言ではありません。

ステップ3

企業価値の算定業務を行います。

財務、税務、法務、ビジネスDD等々、企業規模等に応じた相応の企業価値算定業務が必要です。
これらから導き出された企業価値を基準にして、売却希望価格を仮決めします。ここで売手様との調整が必要です。
これらを踏まえて【企業概要書】(呼び方はこの限りではありませんが)を作成します。

ステップ4

買手アドバイザー候補に買手企業探しを依頼します。

しかるべき買手アドバイザー候補に買手企業探しを依頼します。この時、買手候補企業の属性などをしっかり議論しましょう。
ノンネームシート(匿名で簡単な対象会社の概況を表現する書類)を作って買手候補先に対して買手アドバイザー候補が接触しますが、開示先については細心の注意が必要です。同業者等に安易に悟られないように、そもそも同業者には持ち込ませない等の配慮も必要です。

※私見ですが、同業者の価値評価は低めになるケースが多いように感じます。
有力な買手候補先に対しては秘密保持契約書を締結の上、【企業概要書】及び追加資料を提示して下交渉を行います。合意ができれば次のステップに移ります。

ステップ5

基本合意書の締結を行います。

買手候補が確定すれば、売手との面談等を経て基本合意を締結します。
この基本合意は、売手から提示した【企業概要書】の通りであれば、それに準じた価格で最終的に合意することを前提に締結します。

※基本合意は本当の意味でのお見合いのスタートです。
基本合意書には、一定期間、売手が他の買手候補と交渉しないこと、買手が基本合意書時の金額以上の買取り金額を提示した時、売手には応じる義務が生じること
…などの双方に対する縛りを入れることがありますが、双方に対して最終合意を義務付けるものではありません。

…次回号につづきます。

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