生成AIと中小企業の業務改革[第626回]

…傍観するのか、それとも先んじて活かすのか

(毎週火曜日配信)税理士事務所様の経営を考えるコラム
GPC-Tax本部会長・銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司

貴社の経営、クライアントの経営支援のネタにご利用ください。

近年急速に進化している「生成AI(Generative AI)」は、もはや一部の大企業や先進的なIT企業だけのものではなくなっています。
ChatGPTに代表される生成AIは、中小企業の現場にこそ必要とされる実用的な力を持っており、業務効率化、人手不足の緩和、顧客対応の質向上など、多くの場面で変革をもたらしています。

2025年の今、日本経済は労働人口の減少や物価高、競争の激化といった課題に直面しています。
その中で、中小企業が持続的に成長していくためには、限られた資源をいかに有効に使うかが問われています。
そしてこのとき、生成AIはまさに「経営者の右腕」となりうる存在なのです。

日々の業務で時間を取られがちな見積書や報告書の作成、議事録のまとめ、メール文の下書きなどは、生成AIが得意とする分野です。
実際、ある建設業の企業では補助金申請書類の作成をAIに補助させたことで、40時間以上かかっていた業務が6時間に短縮されました。
これにより担当者は、書類作成ではなく「現場確認」や「顧客対応」に時間を割けるようになったといいます。
また、製造業の現場では、Excelの関数作成やマクロの自動生成をChatGPTで行い、経理部門の定型作業を効率化。
複雑な処理をAIが提案・補完してくれるため、担当者のストレスも大きく軽減されました。

「SNSの更新が続かない」「ブログを毎月書くのが大変」そんな声は中小企業経営者からよく聞かれます。
実は、このような“アイデアはあるが形にできない”課題こそ、AIの出番です。
北海道のある雑貨店では、ChatGPTを使ってInstagram投稿文の草案を自動生成し、それをスタッフが調整して投稿する運用に切り替えました。
その結果、投稿数が月2件から週2件に増加し、オンライン注文数が前年比120%を記録。情報発信ができるだけで、顧客との接点が増え、売上にも直結します。
このように、AIは「発信を加速するパートナー」として、小さな企業の声を大きく届ける力を持っています。

生成AIは、顧客対応の質とスピードも劇的に変えます。
たとえば、ある学習塾では、保護者との面談内容を録音し、それをAIで文字起こし・要約。個別のフィードバックレポートを自動作成することで、保護者からの信頼が向上し、口コミによる新規入塾も増えたそうです。
一方、地方のスーパーでは、AIチャットボットを導入し、営業時間外の問い合わせにも自動対応。
お客様の不満が減り、対応スタッフの業務負荷も軽減されたとの報告があります。

AI活用の成否は、「小さく始めて、徐々に広げること」にあります。
ある中堅製造業では、まず営業部門で「日報の要約」や「提案書のひな型作成」にAIを導入。
その効果を確認したのち、管理部門や開発部門にも展開し、半年で社員の8割以上が日常的にAIを使うようになりました。
重要なのは、現場が「これは便利」と感じる体験をすること。
無理に全社導入を目指すのではなく、業務に合ったところから一歩踏み出すことが、成功への近道です。

生成AIは「万能な魔法」ではありませんが、「日々のちょっとした手間」を着実に減らしてくれる道具です。
そして、大企業に比べてフットワークが軽い中小企業こそ、AIの力を柔軟に取り入れることで、大きな飛躍を遂げる可能性を秘めています。
この変化の波を、傍観するのか、それとも先んじて活かすのか、経営者の選択が、企業の未来を左右します。

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