「与えられたルールで戦う」から「自らルールを創る」企業へ[第642回]

…「令和8年」を迎えるにあたって!

貴社の経営、クライアントの経営支援のネタにご利用ください。

来年は令和8年です。もちろん、昭和101年ではありません。
誰もが分かっているはずのこの事実ですが、今なお昭和の経営観に基づいた判断や行動が、現場のあちこちに根強く残っています。

時代は変わりました。変化に気づいていながらも、経営スタイルを見直すことなく、昭和の延長線上に立ち続けているとしたら、この年の瀬にこそ、令和の時代にふさわしい「経営のあり方」について、改めて考えてみてはいかがでしょうか。

■1.昭和と令和は、前提がまったく違います

昭和の時代は、「危険・不便・不快」といった社会課題が明確でした。
たとえば、1964年の東京オリンピック当時、冷蔵庫の普及率はわずか10%。人々の暮らしはまだまだ不便で、解決すべきテーマが山積していたのです。
企業は、こうした大きなニーズに応えるために商品開発を進め、大量生産と均質化を武器に経済成長を支えました。
「Japan as No,1」と称された時代、同質性とスピードが成果を生んだのです。

ところが、令和の日本はすでに「安全・便利・快適」が当たり前となりました。
大きな課題が見つかりにくい時代においては、皆が同じ小さなテーマに群がる結果、差別化が難しくなり、激しい価格競争へと突入。
多くの企業が低成長・低収益のスパイラルに悩まされています。

■2.昭和の「正解」が、今もあなたを縛っていませんか?

私たちの思考や判断は、無意識のうちに昭和の影響を受けています。
先輩経営者や業界の常識、書籍、コンサルタントの提言……その多くが、昭和の成功体験をベースに語られています。
だからこそ、今こそ疑ってみるべきです。「本当にそのやり方は、今の時代に合っているのか?」

◆ 新たな経営原則へのシフトが必要です
・【PL(損益計算書)】売上よりも利益。量より質へ。
・【BS(貸借対照表)】「持つ経営」から「持たない経営」へ。
・【MG(マネジメント)】ボトムアップからトップダウンへ。雇用から業務委託へ。

■3.昭和の「型」から抜け出せていますか?

業界の枠組みや収益モデルも、昭和時代に定義されたものをそのまま使い続けていませんか?
「この業界はこういうもの」「このビジネスモデルが定番」、そんな固定観念こそ、変化の足かせです。

◆ 新たなビジネスの「型」へ
・サブスクリプション1.0 ⇒ 2.0(継続価値の再設計)
・ソリューション提供企業への転換
・D2C(Direct to Consumer)、クラウドファンディング
・DX(デジタル変革)の推進
・業界の垣根を超える展開
・ニューミドルマン(購買代理)⇒ プラットフォーマーへ

■4.これからの変化は「破壊的」に進みます

今後のビジネス環境は、変化ではなく「激変」が常態となります。
真にオンラインを武器とする企業が、リアルな世界を飲み込む「OMO(Online Merges with Offline)」の時代が加速しています。
たとえば、銀行業界の縮小はその一例に過ぎません。同様の構造変化は、あらゆる分野で起こるでしょう。
・AI(例:ChatGPT)による知的労働の代替
・カーボンニュートラルによる産業構造の変革(特に自動車業界)
こうした環境変化の波に、旧来型の組織では対応しきれません。

■5.ルールが変わるとき、中小企業には最大のチャンスが訪れます

競技のルールが変われば、強者が変わります。
100mを最速で走れなくても、「100mを20秒ジャストで走る」競技が新たに生まれれば、あなたにも金メダルの可能性があります。
今はまさに、その「ルールが書き換わる時代」です。しがらみに縛られない中小企業や起業家こそが、新たな主役となり得るタイミングです。

■6.令和時代を生き抜く企業体へ

同質化・価格競争に巻き込まれず、独自のポジショニングを確立し、新たな市場や仕組みを自ら生み出していく、そのような企業こそが、これからの時代に求められます。
「与えられたルールで戦う」から「自らルールを創る」企業へ。
あなたの会社も、令和のリーダー企業になれるかもしれません。

お世話になりました。来年もよい年でありますように。
感謝・合掌
(次回の配信は1月6日です。)

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