13.間違えた金融機関対応常識を斬る!

平成27年7月
税理士・会計事務所様へのメッセージ
GPC-Tax本部会長・一般社団法人銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司

※クライアント様へ…
金融機関対応に対する間違えた常識がまかり通っています。
正確に理解した上での対応をお薦めいたします。


◆間違え常識その1:『借入れは少ない方が良い』×

◆会社の有する現預金と借入額を比較してみました。

正味の借入額は、以下のすべて2,000万円です。

A.現預金額 300万円 借入額 2,300万円
B.現預金額 1,300万円 借入額 3,300万円
C.現預金額 2,300万円 借入額 4,300万円

貴方はどの状況を選択されますか?

※与件が曖昧です。正確に判断することは難しいでしょうが、考え方としてご理解ください。

Aは借入額も少なく、現預金も少なくなります。負担する借入金利も少なくなります。
Cは借入額も多く、その分現預金も多くなります。負担する借入金利は増えます。

AからCへは移行できないことがある、この事実を認識すべきです。
CからAへはいつでも移行できます。自らの意志で返済すればよいからです。
一方、AからCへの移行は、貸し出す金融機関の同意が必要になります。

経営の安全性、資金繰りに苦労しない確率は、AよりCの方が、はるかに高いはずです。
『借りられる時に、借りられるだけ借りましょう。』 ◎とご提案しているのはこのためです。

◆以下のDとEでは、当然Eの方が良いですね。この意味では、借り入れは少ない方が良い、
 となりますが、このケースの話を上記と混同しないでください。

D.現預金額 300万円 借入額 2,300万円
E.現預金額   300万円 借入額     0万円

◆間違え常識その2:『無借金経営が良い、故に借入れはしない。』×

◆会社の有する現預金と借入額を比較してみました。

F.現預金額 300万円 借入額 0円
G.現預金額 1,300万円 借入額 1,000万円

冒頭の論理と同じです。FとGを比較してください。共に実質無借金です。
GはFに比べて、会社を守りきるための余裕資金が多い、ただ、金利負担が多い、ことを意味します。

◆無借金状態で経営できるぐらいのキャッシュリッチな会社を作りたい、誰しもが狙う理想の経営です。

手持ち資金を十分持ち合わせていない状況で『無借金経営が良い、故に借入れはしない。』と考えられる社長も少なくありません。

○「将来無借金経営を目指す」⇒「必要な資金は借入で賄い利益を出す」⇒「良い会社を築き上げる」⇒「借り入れに頼らない会社になる」
×「将来無借金経営を目指す」⇒「必要な資金も借入れない」⇒論理がつながりません。

無借金で経営できる良い会社に仕上げるためには、その過程で資金が必要です。十分な自己資金がなければ、また、会社を守りきるためには、借入れに頼る以外に方法はありません。
無借金経営を目指すことと、目先の借入れを行うこと、この二つに何ら矛盾はありません。無借金経営を目指すことと、目先の借入れを起こさないこととは、全く別の話です。

『無借金状態で経営できるぐらいのキャッシュリッチな会社を作るために、今は、その必要な資金と会社を守りきるための資金は借入で賄う。』◎、これが正しい論理ではないでしょうか。

金融機関対応・借入れに対する考え方は、経営の屋台骨に関わる重要な事柄です。
経営者自身が、その真理を理解した上で対応してください。
非論理的な間違った理解、財務無策で経営危機を招かないようにしてください。

銀行融資プランナー協会の正会員事務所である当所は、

クライアントに
『お金の心配をしない経営を本気で目指してもらう』ことを目標に掲げています。ご相談ください。