32.確率の低い資金調達業務やトラブルシューティングに奔走されないでください!
平成28年11月税理士・会計事務所様へのメッセージ
GPC-Tax本部会長・一般社団法人銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司
「金融機関対応を含む財務支援業務」は、
クライアントの健全な成長のために行う継続的な財務機能を担うことです。
※代表者様を想定して記載しています。
※僭越ですが本音を書いています。ご無礼があればご容赦ください。
◆「確率の低い資金調達業務やトラブルシューティング」には原則関わらないでください。
税理士事務所が行うべき『金融機関対応を含む財務支援業務』は、救済やトラブルシューティングのためのスポット業務ではありません。その業務の大半は、クライアントの健全な成長のために行う継続的な財務機能を担うことです。
健全な成長のための財務支援業務の関与先に対して、時に救済やトラブルシューティングを行うこともある、とご理解ください。
少なくない先生方が、「確率の低い資金調達業務やトラブルシューティング」に奔走されておられますが、当事務所では「力不相応な資金を短期間で調達したい」とするクライアント(及び候補)の要望には、原則「できません。」とはっきりお断りしています。
特に、クライアント候補(新規の問い合わせなど)は、資金調達が概ね可能、前向きな財務支援ができる先を限定して受託しています。
◆問い合わせ先企業の見極め・選別が必要です。
電話対応や来社時に、クライアント候補から情報を聴き取って、短時間に財務状況を見極めて、その対応の可否を判断することが必要です。
◆スキルがあれば短時間で判断できます。
よく知っているから短時間で判断を下すことができます。また、「無理です。」とお断りするクライアント候補に対しては、その要望が「なぜできないのか?」を納得がいくように論理的に説明させてもらいます。故に、トラブルも起きません。
◆スキルが無ければ判断できません。
電話対応や来社時に、クライアント候補から情報を聴き取って、短時間に財務状況を見極めて、事務所としての対応方針を決めるためには、習熟したスキルが必要です。おぼろげにしか持ち合わせていない知見で対応すると、非効率的であり、時にトラブルに発展します。
1.
例えば、創業融資の支援も一見簡単そうに見えますが(事実難解ではありませんが…)、それでも、その行間を熟知しなければ間違えることもあります。
・「創業資金総額の10分の1以上の自己資金」…100万円で900万円借りられるのか?
日本政策金融公庫・新創業融資制度の概要から引用
・「(注5)事業に使用される予定のない資金は、本要件における自己資金には含みません。」…この注記が意味するところは?
・「現在の企業と同じ業種に通算して6年以上お勤めの方」…4年ならどうなのか?どの程度厳格に運用されているのか?
・「融資限度額、3,000万円(うち運転資金1,500万円)」…限度額まで借りられるのはどんなケース?
・(記載されていませんが)事業総予算に対する限度額は?
2.
例えば、設備投資を資金使途とする借入れ資金の入金前に、その対象資金を支払った、公庫・保証協会、その一方は、資金使途違反になります。どっち?
3.
例えば、リスケ時の偏頗弁済 … 当然NG、例外は?
等々、2.や3.は時に遭遇します。また、間違えるとダメージが小さくありません。
◆「金融機関対応を含む財務支援業務」に税務士事務所として取り組む時は
- 「確率の低い資金調達業務やトラブルシューティング」には、原則関わらないでください。
- おぼろげにしか持ち合わせていない知見で取り組まないでください。結局、手間暇ばかりを費やして収益につながりません。また、時にトラブルを引き寄せます。
※スキルを確実に習得した上で、プロとして取り組んでください。ニーズの大きい、高収益で有望な業務分野です。 - クライアントの健全な成長のために行う継続的な財務機能を担うことを、その目的に据えてください。
『財務支援』プロダクトの完全習得を心からお願いいたします。
『WEB金融機関対応力習得研究会』のフル活用(全講座3回以上の受講)を重ねてお願いいたします。