事業再生は財務支援の範疇ではありません。[第195回]

(毎週火曜日配信)税理士事務所様の経営を考えるコラム
GPC-Tax本部会長・一般社団法人銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司


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…税理士事務所が行う財務支援業務は、原則ポジティブ案件に限定すべきです。

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■税理士事務所が行う財務支援業務は、原則ポジティブ案件に限定すべきです。

◆経営に行き詰まった企業の事業再生への関与は絶対に止めましょう。

「事業再生ADR(じぎょうさいせいADR)とは、会社の経営が行き詰まった企業の事業再生を目指すにあたり、会社更生法や民事再生法(和議)、破産法などによる裁判所の法的な手続きによる紛争解決の手続きを使わずに、当事者間の話し合いで解決する手続きの事である。なお、ADRとは裁判外紛争解決手続(Alternative Dispute Resolution)の略。2007年に産業活力再生法の改正により制度化された。」(出典:ウィキペディア)

◎理由は…

1.事業再生案件は、ネガティブだからです。
クライアントは、できるだけツキの有る、伸びている、伸びそうな…事業体を選別すべきです。事業再生企業は、(この時点では)ツキを持っていません。

2.ツキの無い企業を再生させるエネルギーは、ツキの有る企業を伸ばすためのエネルギーの何十倍も必要です。労が多くなります。また成就しません。

3.事業再生業務は、通常の財務支援とは全く別のスキルが必要です。収益の上げ方も違います。
※事業再生を生業にする専門家も、総資産の大きな案件にしか関わりません。その収益の大半は、不動産等の売却手数料に依るからです。

4.事業再生は、多くの場合金融機関と利害が相反します。金融機関と対峙することは得策ではありません。

◎既存のクライアントの経営改善計画書の作成と(返済額0円)リスケの実行、リスケ状態から正常化のサポート、ここまでを財務支援の範疇としましょう。
※WEB金融機関対応力習得研究会講座No.8を参照ください。
https://www.good-tax.jp/web-lecture/no-8.html

◆資金調達に苦労している企業への関与は止めましょう。
キャッシュフローが無い、債務超過、赤字…資金調達に苦労されておられる経営者は、藁(わら)をもつかむ気持ちで駆け込んできます。切羽詰まっている分熱心です。謙虚ですが…案件を冷静に検証してください。ボランティアならかまいませんが、ビジネスとして
の取組みは止めましょう。

◎私は、既存クライアントなら最大限考えますが、そうでなければメールか電話の段階でお断りします。

◆トリッキーな案件への関与は止めましょう。
自己資金が無い、経歴要件も?または、別の社長を立てて新会社を設立して…上手に資金調達したい、このようなトリッキーな案件は結局成就しません。正しいアプローチができない案件に、税理士事務所が関与すべきではありません。

◎私は、ご縁がある社長様なら「得策でない事を説きます。」が、そうでなければメールか電話の段階でお断りします。

■税理士事務所が取組む財務支援業務は…

1.対象は、できるだけツキの有る、伸びている、伸びそうな…クライアント(及び候補)に限定しましょう。これだけで十分ビジネスは成立します。

2.正攻法で真直ぐに取り組みましょう。トリッキーな手法はご法度です。

3.スポット業務ではなく、継続業務として関わりましょう。スポット支援では本質的な財務支援はできません。
※繰り返しますが、事業再生は財務支援の範疇ではありません。関わらないでください。

●結局、財務支援に関するスキル・知見を確実に習得していなければ、雑音に惑わされてしまいます。財務支援をビジネスにできないのは、(ご無礼ですが)取組む先生方の知見不足です。体系的・網羅的に税理士事務所が取組む財務支援業務を習得してください。唯一のプログラムであることを自負しています。以下をご確認ください。
https://www.good-tax.jp/best-answer/course.html

●税理士事務所の付加サービスとして財務支援業務にスポットが当たってきました。私はそうあるべきだと考えています。一方、事業再生等、税理士事務所が取組むにふさわしくない範疇の業務が、財務支援と称して一部で推奨されることに危惧を抱いています。
この機会に、もう一度「自事務所が取組むべき財務支援の業務範囲を定義」してください。

※『新・税理士』を提唱いたします。
https://www.bankfinancial-planner.com/shinzeirishi/
銀行融資プランナー協会は、高収益化のためのソリューションをパッケージで提供しています。

◆貴事務所も、この機会に
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