事務所経営の良し悪しは、概ね値決めで決まります。(その2)[第193回]

(毎週火曜日配信)税理士事務所様の経営を考えるコラム
GPC-Tax本部会長・一般社団法人銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司


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 …「価格を売るための道具には絶対に使わない!」

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■勝ち組事務所と負け組事務所の価格戦略は真逆です。

◆市場が飽和した日本のマーケットにおいては、サービスを安く買おうとするエネルギーが蔓延しています。
サービスを提供する事務所サイドも、その趨勢に迎合することで、自事務所の売上を確保しようと考える傾向が強いようです。

◇一方、十分な利益を確保できる価格設定を行ったうえで、隆々と経営を続ける事務所もたくさんあります。当然、たくさんの顧客に支えられているはずです。

◆前者と◇後者、雑駁に分類するなら負け組と勝ち組です。
◆前者(負け組)が4割、◇後者(勝ち組)が2割、中間が4割、このような分類になりそうです。

◆前者(負け組)の事務所の価格戦略は…
・「価格(安売り)を売るための道具」だと思っています。
・「価格は安い方が売れる」と思っています。
・「価格は、できるだけ安めに設定するべき」と思っています。
・「価格が高すぎて売れない」ことを過度に嫌います。
・「売れないより、薄利でも売れた方がよい」と考えています。
※うまくいってたくさん売れても「繁盛貧乏」に陥ります。
儲からないのに忙しい状態でバランスしてしまいます。
後は頑張って・頑張り続けて…現状維持が関の山です。

◇後者(勝ち組)の事務所の価格戦略は…
・「価格を売るための道具には使わない」との信念を持っています。
・「価格が安くても売れるわけではない」と思っています。
・「価格は、できるだけ高く設定すべき」と思っています。
・「(仮に)高すぎて売れないことが有っても仕方ない」と思っています。
・「薄利で売るよりも、売れない方がよい」と考えています。
※うまくいけば、たくさん売れて儲かる「繁盛高収益」の状態になれます。利益で次の投資ができ、さらなる成長を目指せます。うまくいかなければ、「閑散貧乏」の状態です。やり直せます。

■価格に対する二つの潮流…

◆サービスを安く買おうとする潮流に巻き込まれることは得策ではありません。
◇もう一つの潮流、「良いサービス・必要なサービスが欲しい。対価は払う」に乗せましょう。
気を付けてください。◆前者の潮流の方が目立っています。◇後者は静かに流れています。

■もう一度「価格戦略=値決め」を再考してください。

「値決め」は経営の要諦です。であるにも関わらず、値決めに掛ける手間暇が少なすぎると思っています。総じて安く付けすぎているとも思っています。間違えた「値決め」が経営に与えるダメージを過小評価してはいけません。
所長は閑散な状態を嫌います。故に、安すぎる「値決め」をして、貧乏しても繁盛したいと考える傾向があります。「繁盛貧乏」がはびこるのはこのためでしょう。
所長は楽な道を選びます。苦労して付加価値を積み上げるよりも、価格を低く抑えて価値とバランスしようと考えてしまいます。価格を売るための道具に使ってしまいます。
安売り戦略の大罪は、良いものを創り出そうとする知恵を奪い取ることです。この愚策を長年続けている集団から、新たなサービスを創り出す創造力は生まれません。サービスの価値と価格のバランスは、その価格を下げて市場に合わせるのではなく、その価値を向上させることで調整してください。多くの偉人たちが語る経営の王道です。

事業(税理士事務所の経営)は付加価値を求めつづけることでのみ継続できます。値決めは重要な経営判断です。安売りは悪です。 利益を計り、利益を求めてください。また、コストは自然に膨らみます。意識して抑え込んでください。高収益(Profitable)な企業体作りを強く意識してください。

「価格戦略=値決め」は、経営成績の良し悪しに甚大な影響を与えています。勇気をもって「価格戦略=値決め」をご再考ください。繁盛高収益事務所、さらに閑散高収益事務所を目指しましょう。

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